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最強伝説黒沢凛

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ああ、それにしてもお金が欲しい。 スターライト学園はアイドル学校である。 難関の試験を突破した者だけがくぐることを許される狭き門。世にアイドル学校は複数あるが、スターライト学園は名門校としてトップの知名度を誇り、現トップアイドルの星宮いちご…

アイカツ! いろいろな手

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「おまおまおまたせー」 ドリームアカデミーの食堂。テーブルに着いていた音城セイラの元に、冴草きいがぴこぴこと髪の毛を上下に揺らしながら駆け寄ってくる。 「ごめんねー、待ったー?」 「いや、今来たところ」 正面に座ったきいにセイラが答える。 セイ…

今日の長門有希SS

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「なんでもラー油を入れればいいと思っているんじゃないでしょうね」 涼宮ハルヒの発言はいつも唐突である。今は放課後で、いつものように文芸部の部室で適当に時間を潰していた最中であり、朝比奈さんが淹れてくれた紅茶を口にしてはいるが食事中ではない。…

今日の長門有希SS

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人間は生活していると少しずつ汚れていく。汗をかけば臭くなるし、どんなに気を付けていても食べかすなどが服や体に付着してしまう。 汚れる以外にも、男の場合はある程度の年齢になればヒゲが伸びるようになるのでそれを剃らなければならない。ともかく、人…

今日の長門有希SS

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涼宮ハルヒを形容する言葉には様々なバリエーションがある。いい表現をするならば、活発だとかリーダーシップがあるなどと言えばいい。教師が内申書に書くのはこういった聞こえのいい言葉だろう。 実際には、やかましくて都合も考えずに俺たちを振り回すはた…

今日の長門有希SS

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今さら改めて説明するまでもないことであるが、俺たちが通う高校までは長い坂道を登って行かねばならない。通常の自転車では乗って進むのも困難なほどの坂が長く続き、道こそ舗装されているがちょっとした登山コースのようなものだ。あまり広くない車道の脇…

今日の長門有希SS

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10/07、10/17、10/22の続きです。 「あはははっ、ははははははははっ」 ピピピピとハルヒの携帯から電子音が鳴り響く中、腹を抱えて床をのたうち回っている者がいた。 「ひぃ、ひぃ……そんなっ……ぷ、ははははっ!」 ハルヒである。 長門の読み上げた物語がツ…

今日の長門有希SS

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10/07、10/17の続きです。 『爆笑! ドラえもんゲーム』とは、参加者の中からドラえもん役となる一人を決めて行うゲームである。ドラえもんに選ばれたものは、まず今まで履いていた靴下を脱いで両手に装着し、その状態で握り拳を作って手首を靴下の上から結…

今日の長門有希SS

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前回の続きです。 「『爆笑! ドラえもんゲーム』を行う際は、先に説明の書かれている紙だけを取り出し、手順に従って行動してください」 ハルヒが封筒の表面に書かれていた文章を読み上げる。先ほどのハルヒの言葉によると、他にも何か固い物が入っているら…

今日の長門有希SS

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「たまには面白いことでもしたいわねぇ」 ハルヒのその言葉は、俺たちの平穏な日常を脅かすサインだ。ここのところずっと大人しくしていたので安心していたのだが、どうやらため込んでいたらしい。 顔を上げると、将棋盤を挟んで座っている古泉の営業スマイ…

今日の長門有希SS

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7/22、7/24の続きです。 SOS団にツイッターが導入されて数日が経過した。当初、ハルヒに「今やっていることを逐一報告するように」と言われ、長門と同じタイミングでカレーを食べていることを書いてしまいハルヒに疑問を持たれたりしたものの、たまたま朝…

長門有希の置換 本文サンプル プロローグ

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side A コタツの向かい側に座っている少女が、口を開いた。 「宇宙は広い。この地球はその中ではちっぽけな存在。地球を取り巻く太陽系、そしてこの太陽系を取り巻くこの銀河系も、宇宙全体から見ればそれほど大きな存在ではない」 急須の蓋を横に置いて、ポ…

今日の長門有希SS

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前回の続きです。 「待たせたわね」 そんな言葉を口にしつつ、部室に入ってくるハルヒ。別に俺たちはハルヒの到来を待っていたわけではないが、どこで何をしているのかと頭の片隅に引っかかっていたので、目の届く範囲にいたほうが精神衛生上は好ましい。 ハ…

今日の長門有希SS

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放課後の部室、例によって俺は活動終了までの時間を潰すべく朝比奈さんに淹れてもらったありがたいお茶を堪能しつつ、オセロに興じていた。しかし、普段と違うのは、対戦相手がいかにもボードゲームなどの知的遊戯が得意そうな顔をしてその実からっきしの実…

今日の長門有希SS

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6/9の続きです。 ハルヒが部室にコーヒーメーカーを持ってきてから数日が経つ。 いつもパソコンに向かっていたハルヒが、毎日のように違う豆を買ってきては新たなコーヒーを淹れるようになった以外、俺たちの活動内容はそれほど変わっていない。ボードゲーム…

今日の長門有希SS

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SOS団に所属していると、妙な事件にばかり巻き込まれる。ハルヒの能力が引き起こす超常現象もそうだが、ハルヒの性格が引き起こす超常ではないもののそれなりに騒がしい日常。ともかく、高校に入ってからの俺は、それまでに比べて物事に対して驚くことが…

今日の長門有希SS

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全ての授業の後にホームルームがあり、それが終わると俺たちは解放される。しかし今日は教室掃除の当番であり、回転ボウキを使ってホコリを一カ所に集める。 俺もそうだが、熱心に掃除をしようなどという者はおらず、どことなく弛緩した気持ちで掃除を続ける…

今日の長門有希SS

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俺たちの通う高校は駅からちょっと離れた高台にある。ホームルームの終わる時間がクラスによって異なり、部活などがあるせいで帰宅時間がまちまちになる夕方とは違って、登校する時間は皆同じ。朝練などで早く学校に行っている奴らもいるが、全体から考える…

今日の長門有希SS

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前回の続きです。 しゃりしゃり―― しゃりしゃり―― 「……」 「……」 長門と俺は、布団をコタツ――ではなく、布団を外して単なるコタツ机となったものを挟んで向かい合い、押し黙っている。 しゃりしゃり―― しゃりしゃり―― 部屋の片隅から金属のこすれ合うような…

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人間には性欲というものがあり、高校生である俺たちの年代はそれが盛んな時期である。性欲は生物にとって種を保存するための本能であり、男女問わず存在するものであるが、かつて長門と交際する以前は男にしか存在しないものだと思っていた。それが女性にも…

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図書館という施設では、今そこにある本だけではなく、貸し出し中のものや提携している図書館が所蔵している本を予約することができる。提携という表現は正しくなく、基本的に同じ市町村にある図書館は運営している自治体が共通していており、中央図書館とそ…

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長門の家に通うようになって、それ以前に比べて家事をやる機会が増えた。自宅ではいつの間にか親がやっているようなこと、例えば掃除などは俺か長門のどちらかがやらなければいつまで経っても終わらない。まあ、たまに遊びにくる朝倉が勝手にトイレや廊下を…

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前回の続きです。 「待たせたわね」 女性陣が戻ってきたのは、俺たちがトランプを始めて二十分ほど経ってからだった。 「じゃあ始めるのか」 「焦るんじゃないわよ。まだ準備があるの」 「そうそう、もうちょろっと待ってくれるかなっ?」 準備? 既に布団が…

今日の長門有希SS

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「枕投げをしたいわね」 涼宮ハルヒは唐突だ。 放課後、いつものように大したことをするわけでもなく時間を潰していた最中、マウスをいじりまわしていたハルヒがそう発言をしたわけだ。 枕投げとは、今さら説明するものでもないと思うが、修学旅行や部活の遠…

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今さら言うまでもないことだが、俺とハルヒは同じクラスである。どちらも掃除の当番ではなく、特に何事もなければ連れ立って教室を出ることもある。 「あら有希」 と、そこで長門に出くわした。俺たちと長門の教室は隣なので、こういったこともまた起こりう…

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「女が電気を消してくれと言うのは、恥ずかしいってよりも、仰向けになった時に眩しいからなんだ」 授業の合間の休憩時間。教室移動やトイレに行く用事がなければ、基本的に暇である。次の授業のための準備時間ではあるが、教科書やノート、場合によっては辞…

今日の長門有希SS

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前回の続きです。 最初はどこかに向かって歩き出したハルヒだったが、特にいい案を思いつかなかったのか「各自、食べたい物を買ってきましょう」なんて言い出した。 千円を四人で割ると二百五十円。それを俺以外の四人に分け、いったん別れて買い物をするこ…

今日の長門有希SS

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休日に、俺たちSOS団は街を徘徊する。何度も繰り返されており、もはや恒例行事となっているので学校に行くのと大して変わらない気分になっている。慣れとは恐ろしいものだ。 この集まりの目的は不思議な何かを探すことだが、誰も本気で探していない。言い…

今日の長門有希SS

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季節は移り変わる。 ちょっと前まで寒い日が続いてきたが、そろそろ春らしき日も増えた。とは言え、ちょっと天気が崩れれば時間が巻き戻ったのではないかと思ってしまうような気温まで落ち込むこともあり、未だに予断を許さない。 「そろそろコタツを撤去す…

今日の長門有希SS

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「これが……なんて、大きいのでしょう」 緑色の髪をした先輩は、驚愕に目を見開く。太く長いそれは、通常のものよりかなり大きい。 「これは、舐めても折れたりしないのでしょうか」 ほうと息を吐きながら、根本にそっと手を添える。 「……」 おずおずと顔を近…