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今日の長門有希SS

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前回の続きです。 注文を終え、テストのことや教師の悪口などいかにも高校生らしい会話をしているうち、先ほどの女性店員が大皿を持ってきた。注文してからまだそれほど時間はかかっていないが、中華料理はそれほど時間がかからないものである。 「チャーハ…

今日の長門有希SS

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休日になると俺たちSOS団は街を徘徊することに決まっている。午前の部はいつもの如く何の成果もなく終わり、集合した俺たちは飯を食う店を探して歩いていた。 「そうだ、今日はあそこで食べてみない?」 ハルヒが示したのは小さな中華料理屋だった。古く…

今日の長門有希SS

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放課後、部室で過ごす時間の大半はゲームに費やされる。勝負に熱中しているからいつもやっているかというとそうではなく、ただ単純に持て余しすぎた時間を消費するのに都合がいいだけだ。 俺たちがやるのは主に電気を使わないテーブルゲームだ。将棋やオセロ…

今日の長門有希SS

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10/01、10/03の続きです。 長門の服を買う。 以前にもそのようなイベントがあったような気がする……まあ人間の記憶など曖昧なものであり、覚えちゃいない。長門なら今までの出来事をほぼ記憶しているだろうが、わざわざ聞くまでもない。 仮に思い出して以前に…

今日の長門有希SS

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前回の続きです。 「は? 衣替え?」 いつも通りの喫茶店。遅刻した理由を聞かれるまま答えた俺に、ハルヒは小馬鹿にするような顔を向ける。 確かに遅くなったのは悪かった。待ち合わせ時間までに到着して最後になるのが常だが、今回ばかりは完全な遅刻だ。…

今日の長門有希SS

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日本は四季がはっきりしているとよく言われる。地方によってその程度はまちまちだが、夏には蒸し暑くなり冬は冷え込む。 それにより、俺たちの生活も変化する。幸いなことに俺たちが住んでいるのは雪が降る地方ではないが、場所によっては冬に自転車に乗れな…

今日の長門有希SS

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人間の行動範囲は狭い。特に俺たち高校生は徒歩や自転車が主な交通手段となるので、車を使える年齢に比べると更に狭まってしまう。 もちろんバスや電車に乗ればどこまでも行くことができるが、定期通学をしているのならばともかく、そうでなければ頻繁に公共…

今日の長門有希SS

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菓子職人の朝は早い。 まずはチェックから始まる。手元のメモを見ながら、戸棚から材料を取り出す。 小麦粉、ベーキングパウダー、砂糖……このあたりは常温で保管している。続いて冷蔵庫を開け、卵と牛乳を取り出す。 最初に粉を計量する必要がある。俺は計り…

消失の長門有希(「涼宮ハルヒの消失」ネタバレご注意)

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人はなぜ勉強をしなければいけないのか。 この問いにまともに答えられる教師は世の中にどれくらい存在するだろう。受験に必要だからとりあえずやっておけとか、将来的に何かの役に立つとか、聞いてみればそのようなもっともらしい答えが返ってくるとは思うが…

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8/22、8/24、8/31、9/2、8/6の続きです。 二回戦が始まるという時になって、明らかに会場がざわめき始めた。 最初に出てきた魔女は大食い番組くらいでしか見かけないのでそれほど知名度があるわけではないが、二人目に登場したそいつを知っている奴は多いは…

今日の長門有希SS

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8/22、8/24、8/31、9/2の続きです。 大食い大会と聞くと、大抵の者はテレビ番組を思い浮かべるだろうが、そのような企画でないものも存在する。わんこそばや大量に餅を飲む大会など番組が組まれることはないが、夕方のニュースなどで見たことのある方もいる…

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8/22、8/24、8/31の続きです。 放課後、部室に到着すると先にいたのは長門だけだった。挨拶もそこそこに、俺はまず植木鉢を確認する。 ハルヒがこいつを持ってきて以来、毎日のように確認しているわけだが、昨日見た時に比べて芽の数が増えていた。昨日から…

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8/22、8/24の続きです。 桃は木になる果実だ。実の中央にある種は大きく、食べるためにカットするのも苦労するほどだ。上手く種を外すための切り方にはちょっとコツがあるが、今はそんなことはどうでもいい。ともかく桃はあんな植木鉢で育てられる植物ではな…

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前回の続きです。 放課後、部室に入った俺は鞄を置くとまた廊下に出る。 あれから数日、水をやることすら飽きてしまったハルヒに代わって俺が植木鉢の面倒を見るようになっていた。ハルヒは湯飲みなどの容器で適当に水を汲んでどばどばとかけていたが、種が…

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俺の目の前には、小さな植木鉢があった。 植木鉢と言っても、よくある素焼きの茶色い器ではなく、繊維を編み込んで作ったような簡素な素材のものだ。水受けのためと思われる小皿とセットになって、机の中央に置かれている。 中に湿った土が入っていることか…

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放課後になると、俺が向かうのは部室棟だ。そこには、本来は文芸部の部室であり、今現在も名目上それは変わっていないのだが、実質的にはSOS団が占拠している部室が存在する。 SOS団を構成するメンバーは五人。団長のハルヒを始め変人揃いの集団で、自…

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俺の前には三つの選択肢があった。選択によってその後に与える影響はそれほど大きくはないが、全くないわけではない。間違った選択をすれば……いや、何が正しくて何が間違いなのか答えのない選択だが、どれを選ぶかによってその後の食生活にはそれなりに影響…

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全ての授業が終わると担任によるホームルームがあり、それが終わると自由な時間がやってくる。この時点ではまだ日も高く、どこかに寄って遊ぶ者もいる時間だが、生憎俺はその自由を満喫できる立場にない。部室に向かって無益な時間を過ごすことはもはや義務…

今日の消失長門有希SS

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人はなぜ勉強をしなければいけないのか。 この問いにまともに答えられる教師は世の中にどれくらい存在するだろう。受験に必要だからとりあえずやっておけとか、将来的に何かの役に立つとか、聞いてみればそう言った答えが返ってくるとは思うが、実際にそう信…

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8/2の続きです。 古泉から電話を受けた翌日、登校した俺が見たのは仏頂面で座るハルヒだった。 「あれか」 手には例の携帯型ゲーム機がある。最近ハルヒがプレイしているのは某有名RPGのシリーズで、携帯型ゲーム機でそのシリーズの新作が発売されるのは…

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休日、俺はリビングで横になってテレビを眺めていた。 ここのところ平和な日常が続いている。同じような時間に起きて学校に行き、夕方まで部室で過ごしてから長門のマンションに寄って帰る。休日はそれとは多少違うが、SOS団で集まってやることはいつも大…

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授業の合間の休憩時間はあまり長いとは言えないが、次の授業のために移動したりトイレに行く程度の時間はある。それらの必要がない時は無駄話をしていることが多いのだが、今回は用を足すために廊下を歩いていた。 「よう」 教室に戻る途中、廊下の向こう側…

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今さら言うまでもないことだが、涼宮ハルヒは横暴である。出会った頃ほど傍若無人ではないが、それでも一般的な基準で考えると十分だろう。ごく一部に例外はいるが、ハルヒが持ち前の我が儘っぷりを発揮する対象はSOS団内外を問わない。とにかくハルヒは…

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ぴん、ぽーん。 のんびりとした休日の夕方、一日中だらだらと過ごしていたが、いい加減買い物にでも行こうと支度をしていた俺たちは、インターホンの音を聞いて動きを止める。 「わたしが」 とだけ言うと、長門はすたすたと玄関に向かっていった。 長門の部…

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7/9、7/10の続きです。 「みくるちゃんもすごいのできるんでしょ!」 教室に戻る古泉と別れ、部室にやってくるとハルヒは朝比奈さんにしがみついていた。 「なにをですかぁ」 「携帯よ! キョン、見せてあげなさい」 「はいよ」 もはやこの展開には慣れきっ…

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前回の続きです。 廊下に出て向かった方向でなんとなく察知はしていたが、辿り着いたのは古泉のクラスだった。 「おや、お揃いでどうしたのでしょうか?」 俺たちに気づいた古泉が雑談を中断し廊下に出てきた。 「申し訳ないのですが、僕はまだ部室には行け…

今日の長門有希SS

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放課後、教室はそれなりに慌ただしい。まず熱心な運動部の奴らが出て行き、それからダラダラと教科書などを鞄に詰めて教室を出ていく者や、まだ帰らずに輪になって話している者などがいる。 今日のところは俺もその最後のグループに該当する。街に買い物に行…

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放課後の時間、俺たちは部室でいつものように過ごしている。俺と古泉はどうでもいいボードゲームをしていて、朝比奈さんはそんな俺たちににこやかな天使のスマイルでお茶を淹れ、ハルヒは仏頂面でパソコンのモニタを睨み、長門は静かに手元の本に視線を落と…

今日の長門有希SS

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毎日学校に行って勉学やSOS団の活動に勤しみ、学校がなくてもSOS団の活動に勤しむ俺たちにとって全く何もない日は貴重であり、前日のうちに食料品を買い込んで置けば部屋から出ずにのんびりと過ごすことも可能だが、だからと言って引きこもっているの…

今日の長門有希SS

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夏は暑いのが当然であるが、暑いのはもちろん理由がある。地球の自転角度は太陽に対し垂直ではなく、時期によって北半球と南半球のいずれかが日光に当たる時間が増え――まあ、そんなことを高校に入る前に学んだような気がするがよく覚えちゃいない。 ともかく…