SSに直で飛んできてる人に告知。今日はハルヒSSもあります

長門有希SS抽出ボタン
長門有希SS抽出ボタン


 昨日から長門SSを抽出するためのボタンを付けました
 しーくれっともーどさんのフリーアイコンを利用してます
 軍服長門の方が良かったかも知れない
 気分で変えるかもしれません


 絵を抽出するためのボタンはドイツ少年のまま変えません

涼宮ハルヒの憂鬱11話『射手座の日』感想

 冒頭から映像が激しい
 予想はしてたけど、まさかここまでちゃんとやるとは思わなかった
 全体的に駆け足な展開とはいえ、やっぱり好きな話なので面白かった
 でもなんとなく、今回のキョンは目が細かったのはなぜだろう
 キョンではなくギョヌだったんだろうか
 そして小ネタの数々がすごい
 白いの発進させるなょ
 相変わらず、ハルヒのアニメはクオリティが高くて良いな
 あとみくるちゃんのポンコツっぷりに脱帽
 まあ、やっぱり長門がかわいい
 だって長門俺の嫁だし


 予告を見て吹きそうになる
 まじで消失前の話を全部映像化しようって事なんだろうか
 そして消失で映画
 これしかない
 あと予告の鶴屋なかだしさん(本名がわからないので仮称)に惚れた


関連リンク
「なに読んでるの? 長門さん」−第11話『射手座の日』

突発的涼宮ハルヒSS

 この話は『6/11の長門SS』を読んでいるとより楽しめます


   我妹子が いかに思へか ぬばたまの
   一夜もおちず 夢にし見ゆる


 万葉集、毎晩欠かさず夢に現れてくれる妻の想いを詠んだ歌だ。他人を夢から閉め出すなんて、ほんっとによくできた奥さん。
 だったら、キョンの夢にはいつもあたしが出ているんだろうか?
 目の前の席のキョンは、授業が退屈なのか居眠りをしている。あんたも、あたしの夢にちゃんと毎日出てくるように努力しなさいよ、不公平じゃない。
 シャープで目の前の背中を突っついた。
「いてっ」
 キョンはちらっとあたしの方を見て少しだけ怒ったような表情を浮かべてから、再び机に突っ伏して居眠りを始めてしまった。
 なによ、本物よりそんなに夢の中のあたしが好き?


 授業が終わって掃除当番をやってるキョンを後目に文芸部の部室にやって来た。
 ここはあたしの城。誰にも侵させない。
 ドアを開けると、中にいたのは隅っこで本を読んでいる有希だけだった。
「まだ他の人は来てないのね」
 有希は視線を本からあたしの方に一瞬だけ移したあと、無言で読書を再開する。
 相変わらず、なに考えてるかわかんない子だわ。
 さて、今日はどうしよう。早くキョンが来てくれないと退屈で死にそう。
 部室の中を見回して、ふと掃除用具入れが目に付いた。名案が思いつく。
 カバンを自分の机の中に隠す。うん、これで大丈夫。あたしがここに来たことは有希以外の誰にもわからない。
「あたしがここから出るまでみんなには内緒にして」
 掃除用具入れを開けたあたしを有希がぼーっとした目で見つめてから、コクンと首を振った。これで有希もオッケー。よっぽどじゃなきゃ裏切らない。
「ナイスアイディアでしょ、みんなの驚く顔が目に浮かぶわ。ビックリさせてやるんだから」
 あたしは内心ほくそ笑んで、掃除用具入れの中に隠れた。カビくさいにおいが鼻をつくけど、ちょっとだけ我慢。
 もしかしたら、キョンがあたしの事を想って「早くハルヒが来て欲しい」とか言うかも知れない。そしたらすぐに飛び出て「なに、あたしに会いたいの?」と言ってやるんだ。
 あいつは素直じゃないから、それでも「そんなこと言ってない」とか言うに違いないわ。でも、顔は真っ赤になってるのよね。
 ガチャ――
 ドアが開いた。ふふっ、誰か来たわ。
 隙間からのぞくと、キョンが後ろ手にドアを閉めて部室の中を見回しているところだった。なんか椅子に座りながらため息ついてるわね。あらあら、あたしがいなくてそんなに残念?
「ちょっといいか?」
 一瞬、返事をしそうになってしまった。危ない危ない、今のは有希に言ったのね。有希に何か用事かしら。
「……」
 有希は答えない。でも、本をぱたんと閉じてキョンの方を見ている。
 この二人のこういうところが嫌。なによ、無言で通じ合っちゃってさ。
「今日の夕飯だが、何かリクエストは無いか?」
 ……え?
 なにそれ、なに言ってるのキョン
 キョンが何かぶつぶつ呟いてる。全部は聞こえないのに「夕飯を作りに行けるのは今日だけじゃない」とかそんな部分だけははっきりと聞こえてきた。
「……」
 有希は無言であたしの隠れている方をチラチラと見る。
「炒飯」
「炒飯か。それじゃあ、玉ねぎが無くなってるよな。俺は家に寄ってから行くから、先にスーパーで待っててくれ」
 なによ、この会話。
 同棲してるカップルか新婚さんみたいな雰囲気出しちゃってさ。なに「卵の賞味期限も迫っているはず」とか呟いてるのよキョン。あんたあたしが好きなんでしょ? なんで有希なんかとそんな話をしてるの?
「ついでに中華スープでも作るか」
 なによなによなによなによなによなによなによなによっ!
 あたしをバカにしてるの?
 あ、わかった、コレどっきりでしょ? 怒って出ていったらプレートを持ったみくるちゃんとカメラを持った古泉君が現れるんだ、間違いないわ。なーんだ、安心した。団長のあたしを騙すなんて極刑ね。死刑よ。情状酌量の余地無し。
「ああそうだ、ついでに明日の夕飯のの買い物もしておこう。パトロールハルヒの機嫌で何時に終わるかわからんから、帰ってすぐ作れるように――」
 トントン。
 ノックの音で、キョンが不機嫌そうな顔をしたのがわかった。ふんだっ、二人の時間を邪魔されてそんなに悔しい? 手が込んだ演技ねー、キョン
 それになに、キョンの言い方だとまるであたしが邪魔者みたいじゃない。そんなに嫌なら嫌だって言えばいいじゃない。
「すいません、よろしいですか?」
「別によろしくはないが、入りたきゃ入れ」
「いえ、今日はちょっと急がなければならないので、このまま失礼します。みなさんによろしく」
 古泉君はそのまま、中に入らないで帰ったみたい。ちょっとちょっと、どっきりならバラす時に古泉君もいなきゃ駄目じゃない。どこ行くのよ?
 しばらく不機嫌そうにしていたキョンの顔が、有希の方を向いてふっとゆるんだ。
 あたしはそんなキョンの顔を見たことはない。むかつく。
 いつの間にか噛んでいた親指の爪がカリッと鳴った。
「すいません、おそくなりましたぁ……あれ?」
 入ってきてきょろきょろと見回しているのはみくるちゃんだった。
「涼宮さんはまだですかぁ?」
 この子も注意しないといけないわね。知ってるんだから、いつも着替えの時に鍵をかけてないのだって、キョンに見られるのを期待してるんでしょ? だって、あたしがドアを開けたら恥ずかしそうに「きゃっ」とか言うくせに、開けたのがあたしだってわかったら「なんだ涼宮さんか」とか呟いて能面みたいな顔で着替えを続けているんだもの。バカでも気付くわよ。バカじゃないからすぐ気付いたわよ。
「先に教室を出たはずなんですけど……今日は来ないかも知れないから、着替えなくてもいいんじゃないですか?」
「あっ、そうですかぁ」
 キョンの言葉に、ちょっと残念そうなみくるちゃん。
 なによ、そんなに自分のメイド服を見せつけたかったの? 色仕掛け? おっぱいが人よりちょっと大きいからって調子に乗ってんじゃないわよ。
「痛った……」
 親指が痛い。鉄の味がする。血が出てるかな。
 それにしても有希に取られるなんて迂闊だったわ。大人しそうな顔して、やってくれるじゃないの。さっきの会話を思いだしただけで腹立つわ。
 隙間から部室を見ると、有希が本を読みながら横目でチラチラとキョンの方を見てるのが目に入った。表情には出してないつもりかもしれないけど、バレバレなのよあんた。
 そう言えば、ずっと前に変な噂聞いたわね。有希とキョンが教室で抱き合ってたとか。冗談だと思ったけど、そう言えば有希が眼鏡をしなくなったのってあの頃だったわ。なに、キョンの趣味に合わせてコンタクトに変えたの? 意外と尽くす性格なのね、有希って。もっと淡泊だと思ってたのに。
 あ、また有希とキョンが見つめあってる。なによなによ、見せつけてくれちゃってさ。みくるちゃんだって苦笑してるじゃない。他にみくるちゃんしかいないからって二人とも油断しちゃってさ、その子、ぼーっとしてるふりしてけっこうわかってんのよ?
「そろそろ帰りましょうか」
 有希が本を閉じたのを合図に、キョンが荷物を片付け始める。ああ、湯飲みの片付けなんてみくるちゃんにやらせとけばいいのよ、好きでやってるんだから。
「……」
 部室を出ていく有希と目があった。
 なによその顔。哀れみ? それとも勝ち誇ってるの? 二人の世界をあたしに見せつける事ができて満足? よかったじゃない、おめでとう。
 みんなが出ていくと、部室の中はシーンと静まりかえる。キョンが電気を消していったせいで真っ暗だ。消して行かなくてもいいのに、気が利かないわね。
 キョンは有希の何がよかったのかしら。そりゃ、顔も悪くないのはわかるわよ。でも、あの有希よ。無口でなに考えてるかわからないあの有希よ? どこに惹かれたの?
 有希の方からアプローチしたって事は考えづらいわね。キョンは有希だったら大人しいからすぐできるとでも思ったのかしら。それで、ヤってるうちに情が移ったの? 男って本当に単純よね。こんなんだったら、焦らさないでもっと早くアプローチしておけばよかった。みくるちゃんみたいに、もっと体をエサにしてアピールすればよかったのかしら。これでもあたしそれなりにあるのよ、胸。
 ガン!
 なんだかむかついて掃除用具入れのドアを蹴飛ばす。歪んだ扉は変な風に開いていって、ガタンと床に落ちた。
 足が痛い。捻挫でもしたかな。どうでもいいや。
 あーあ、なにやってるんだろ、あたし。ビックリさせてやるつもりだったのに、ビックリさせられたのはこっちだった。とんだピエロだわ。
 あ、ずっと入っていたから服に変な臭いがついたかも。ほんっとに最低。
 ふと、足下の影が目に入った。月明かりが作り出す影は、あたしの足下に何か妙なものを浮かび上がらせる。
 チラリと見ると、ロッカーの上に置かれた野球道具の箱からバットが尽きだしているシルエットが見えた。
 そうだわ、キョンの目の前であの泥棒猫を殺したらどうかしら。
 ああ、でも駄目ね。死なせたらあの子はキョンにとって永遠になってしまうもの。キョンの事だから一生忘れないとか言いそう。うん、言うわね。あれで意外と熱血なのよね、キョンってさ。あたしはそこが好きなのよ。うん、大好き。
 どうしようかしら。良いひらめきだと思ったのにな、バット。
 あ、逆にキョンを叩いたらどうかしら。もしかしたら記憶を無くしちゃって、有希の事も忘れるかも。そしたらあたしが24時間付きっきりで看病してあげるわ。寝たきりになっていつ起きるかわからなくても、何年でも看病してあげる。そんなの他に誰も出来ないでしょ? そして、目が覚めてあたしに言うのよ「今までありがとう、愛してるよハルヒ。その髪型似合ってるぜ」ってね。その頃にはきっと、あたしの髪はポニーテールにできるくらいになってるから。
 うん、それいい。名案だわ。ナイスあたし。
「痛っ……」
 バットを握ると親指に痛みが走る。
 あ、道理で痛いはずよね、爪が剥がれて取れかかってるわ。でも指一本痺れてるくらいなら大丈夫よね。
 あ、足も痛い。ボロボロね、あたし。でもこれくらいでちょうどいいハンデよね。
 待ってなさい、キョン

今日の長門有希SS

 通学で坂を登るたび、ここに高校を作ろうと思った誰かさんを恨むね。毎日この坂で生徒がどれだけ体力をすり減らしてると思ってるんだ。
「おっはよーキョン君!」
 校門をくぐったところで背中をドンと叩かれた。思わず、よろけてしまう。
「わっかいのにたるんでるぞー」
 それは、いつも元気な朝比奈さんの友人の先輩だった。
「おはようございます、鶴屋さん
「おっはよーキョン君!」
 再び挨拶をして腰を曲げて背中ごと頭を下げる。相変わらず朝から元気なお人だ。
 しかし、同じ活発でもハルヒと比べて好感が持てるのはなぜだろう。やっぱり人柄だろうか。
「ふっふっふー。キョン君、見たよ見たよー」
「何をですか?」
「耳借りるよー」
 鶴屋さんの口が俺の耳に近づく。
「昨日、長門ちゃんとビデオ借りてたでしょ?」
「みっ、見てたんですかっ!?」
「壁に耳あり、だよっ」
 いや、耳だけじゃ見えねえし。
「あ、すいません、その事は他の人には……」
「安心してっ、まだ誰にも言ってないよー」
 くくっ、と笑う。
 それを聞いて安心した。鶴屋さんなら、秘密は守ってくれるだろう。ハルヒの耳に入ったら面倒なことになるかも知れん。
「あ、おーい、みっくるー!」
 鶴屋さんが呼びかけると、少し前を歩いていた生徒が振り返ってこちらにやって来た。それはもちろん朝比奈さんで、もっと早く気付いていれば俺が声をかけていたのに、全くもって迂闊だった。
「なんか楽しそうですねぇ、どうしたんですかぁ?」
「みくる、聞いて聞いてっ。キョン君が昨日長門ちゃ――むぐっ!」
 慌てて口をおさえた。上級生に対して失礼とか、そんな事は言ってられない。
「どうしたんですかぁ?」
 朝比奈さんは不思議そうに俺たちを見ている。
「いや、何でも無いんですよ朝比奈さん」
 と言ってから、鶴屋さんの耳元に口を寄せる。
「どういうつもりですか、他の人には――」
「ぷはぁ……他の人にはまだ言ってない、って言っただけだよっ?」
 それがどうしたの、って顔で見返されて思わず絶句した。
「お願いです、どーかこの件はご内密に」
「うむうむ越後屋。条件に次第では考えてやらんでもないぞっ」
 と、内密に反応したのか鶴屋さんは何やら悪代官の口調で言う。
「お代官様、その条件とは?」
「内緒にして欲しかったら、おねーさんに何を見たのか教えなさいっ。えっちぃのだったらみんなにばらしちゃうけどねっ」
 はあ、と思わずため息が出る。
「わかりました。長門と見たのは――」
 と、俺が耳元で正直に告げると、
「あっははははははっ!」
 鶴屋さんは腹を抱えて笑い転げてしまった。
「あのぉー、さっきから何の話をしてるんですかぁ?」
「ひーっ、ひーっ、はははははっ! ぎゃっはっはっはっはっ!」
 鶴屋さんは朝比奈さんの質問も聞こえてない様子でゲラゲラと笑い続けている。
 やれやれ……注目も浴びてるし、そろそろ収まってくれないものだろうか。


 ちなみにその後――
「楽しそうに話してた」
 玄関から俺たちを目撃していた長門に頬をつねられた。
「お前の話をしていたんだ」
「そう」
 と、反対側もつねられた。
「口が軽い」
 怒ってるみたいだった。