今日の長門有希SS

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 お菓子や食材の買い出しが無事に終わり、俺達は長門の部屋へ。俺達が戻ったところで休憩時間になる。
 途中、失言をしてハルヒに追求される事になったのだが、なんとか切り抜ける事が出来た理由は、当然のようにテーブルについてニコニコとお菓子を食べている先輩が現れたからに他ならない。
 ハルヒが俺に掴みかかってきたところでふらりと現れ、巧みな話術でハルヒから俺達が長門の部屋で勉強会をしていて、更にそこに朝比奈さんや鶴屋さんがいるという事を聞き出し、それならば自分も参加すると押し切ってしまった。
 その一件で有耶無耶になった事は感謝しておかねばならないとは思うのだが、
「貸し一つですね」
 と囁いてきたので素直に喜ぶことは出来ない。このお方に貸しを作ると一体どうなる事になるのか出来れば想像したくもなかった。
「さ、それじゃあ勉強再開!」
 高らかにハルヒが宣言して休憩時間が終わる。先程と同じように学年ごとに分かれ、テスト勉強を始める。
「ちょっと質問してもよろしいですか?」
 しばらくして、喜緑さんが教科書を持って朝比奈さんに話しかけているのが聞こえてきた。
「えっと、なんでしょう?」
「赤ちゃんってどこから来るんですか?」
 何の質問をしているんですかあなたは。
 しばらく質問の意味がわかっていなかった様子の朝比奈さんだったが、ようやく理解して「ふぇぇぇぇっ!?」と絶叫。
 その横で鶴屋さんは腹を抱えてゲラゲラと笑っていた。喜緑さんの肩をバンバンと叩き「あんた才能あるよっ!」とか言っている。
「人間の場合、子供はしきゅ――」
 長門の口を手で塞ぐ。言わんでいい。
 それからも、およそ三十分おきくらいに喜緑さんの妙な質問が聞こえてきた。某ロボットアニメに登場する秘密道具で何が欲しいかとか、もし一億円持っていたらどう使うかとか、地球は実は円盤状だと聞いたけどどう思うかとか、勉強とは全く関係のない質問ばかりだった。
 そのたびに朝比奈さんが困り、鶴屋さんがケタケタと笑う。困った事ではあるが、勉強の邪魔をするほど頻繁でもなく、最後にはそれが皆の息抜きになっているような気すらしてしまった。
 さて、そんなこんなであっという間に夕飯の時間になる。材料は買ってあるので鍋物。定番だが、食材を切ったらすぐ煮て食べられるし、栄養も味も悪くない。
 しかし、喜緑さんも加わったことで人数が多くなっている。普段のSOS団員に鶴屋さん、朝倉、喜緑さんを入れて八人だ。さすがに一個の鍋をつつくには限界があると、二つのグループに分かれて食べる事になった。
 俺のグループは長門ハルヒに喜緑さん。
「はい」
 煮えたところで長門が小鉢に食材をよそってくれた。ありがとよ、気が利くな。
「あんた、頭良くないんだからネギ食べなさいよ」
 と、ハルヒが溢れんばかりにその小鉢にネギを投入してきた。別にかまわないが、多少は減ってからにして欲しいもんだ。
「では、これも」
 生の肉を入れようとしないでください、喜緑さん。豚肉は腹を壊しますから。
 食えないものを入れようとする喜緑さんはともかくとして、俺の器が空になる前に長門ハルヒが食材を放り込んで来る。鍋を食っているはずなのに、まるでわんこそばのような不思議な感覚だ。
「修羅場ですね」
 と、喜緑さんがニコニコと笑う。
「両手にハナハルですか」
 誰ですかハナハルて。


 飯を食い過ぎた俺は、夕飯後しばらく座ったまま動けなくなってしまった。
キョン、だらしないわよ」
 ハルヒがため息をついて呆れたように俺を見ていた。
 誰のせいだ、誰の。
「……」
 皆が片づけをしている間休憩していると、長門がその輪から抜けてトコトコと近寄ってきた。
長門、どうかしたか?」
「わたしのせい?」
 何か悪いことをして怒られているかのような雰囲気の長門
「いや、お前のせいじゃないぞ」
 頭をなでてやると、長門は嬉しそうに首をすくめた。