過去ログはこっちにまとまってるから、そちらを見ると便利ですよ
木刀が背中に接触する瞬間――
「はっ!」
覆面の人物は息を吐いて大きく前方に飛びました
がっ!
空を切り、木刀は境内の石畳を強く打ちました
手に軽い痺れが走りますが、僧侶は気にせず木刀を構え直しました
「やりますね」
二人は向き合ったまま動けないでいます
二人の力が拮抗しているので、下手に動く事は死を意味するのです
「たっ!」
僧侶が木刀を片手に持って跳躍します
ぶん!
横に薙いだ木刀を、覆面の人物は地面に倒れ込んでかわします
「はっ!」
空振りの後に生じた隙を突き、覆面の人物が棒で攻撃を仕掛けます
どっ!
しかし、吹き飛んだのは覆面の人物でした
一瞬、覆面の人物は自分がどうしてやられたのか理解できませんでしたが、僧侶の構えを見てカウンターを食らったのだと知りました
僧侶は木刀を手放し、掌底を放っていたのです
それが鳩尾に命中し、覆面の人物は吹き飛ばされました
「私は本来、体術の方が得意なのですよ」
僧侶はゆったりと両手を構えたまま、覆面の人物と静かに間合いを詰めます
「っ!」
覆面の人物が突然弾かれたように跳躍し、僧侶に足払いを仕掛けます
しかし、僧侶は軽く飛んでその攻撃を避けました
次の瞬間、僧侶の目の前で何かが弾けました
それは砂の塊で、砕けた粒が目に入って僧侶の視力を奪います
「くっ……」
苦し紛れに僧侶が相手のいそうな方向に掌底を放ちますが、その攻撃は相手を捉える事は出来ませんでした
反撃に備えて僧侶が防御の姿勢を取りますが、いつまで経っても攻撃が来ませんでした
その時、僧侶の耳に微かな足音が聞こえました
「は!」
痛む目で無理に周囲を見回すと、神社から遠ざかって行く覆面の人物の背中が見えました