続・むらびととじぬしさん3

 この物語はむらびととじぬしさんの続編その3です。


その1
その2
その3
その4
その5



 翌朝よくあさめた神主かんぬしさんはそとさわがしいのにきました
 いや予感よかんがしてそとると、境内けいだいはしらところ村人むらびとたちがあつまっていました
 なんと、そこには昨日きのうあばれたおとこいしはしらしばられたなわくびっていました
 それははしらてるとき使つかったなわで、てたときのままはずさないであったものです
儀式ぎしき邪魔じゃましたからたたりがあったんだ」
 村人むらびといます
はや儀式ぎしきをやりなおさないと、きっとおれたちもんでしまうー」
にたくないー」
儀式ぎしきをやりなおしてくれー」
 村人むらびと神主かんぬしさんにりますが、神主かんぬしさんはきびしいかおをしています
途中とちゅうめた儀式ぎしきをやりなおしたら、余計よけいれいおこるんですよ」
「だったらどうすればいんだ」
方法ほうほういのか」
 村人むらびとたちが神主かんぬしさんをさぶりますが、神主かんぬしさんはなにこたえません
 そして、ちいさくいました
「もう無理むりです」



「これはこれは、一体いったいなにがあったのですか」
 村人むらびとけて一人ひとり僧侶そうりょはしらまえおどろきました
 このひとたびをしている僧侶そうりょで、昨日きのうこのむらたばかりで事情じじょうらないのです
じつは、これはまえ地主じぬしたたりなんです」
 神主かんぬしさんが事情じじょう説明せつめいすると、僧侶そうりょはふむふむとうなづきます
我々われわれには、もうどうにもできないんです」
 最後さいご神主かんぬしさんがごといましたが、僧侶そうりょなにかんがえています
たすけてくださいー」
にたくないんだー」
 村人むらびとたちは僧侶そうりょります
 神主かんぬしさんはもうたよりにならないので、とりあえずすがれるものにはなんでもすがろうとことです
「わかりました、そのたたりをどうにかしましょう」



 まず、僧侶そうりょ最初さいしょくびおそわれた佐吉さきちいえきました
生首なまくびそらんでおそってたんだー」
 佐吉さきち身振みぶ手振てぶりをまじえてそのときこと説明せつめいしました
いてたんですか」
「そうそう」
 僧侶そうりょ質問しつもん佐吉さきちうなづきながらこたえます
いたり、ぶつかってたりしたんだよ」
 本当ほんとうひかっていただけなのですが、ころんで怪我けがをしたというのはずかしくてえないのです
「ちょっと怪我けがせてください」
「これです」
 とって、佐吉さきち本当ほんとうころんだとき出来でき怪我けがせます
「ふむふむ」
 僧侶そうりょうなづきます
「ところで、なんでよるくびったんですか」
ひかるってうわさがあったんだよ」
「わかりました」
 僧侶そうりょ佐吉さきちいえあとにしました



 つぎに、僧侶そうりょ自警団じけいだんところました
なにがあったんですか」
 僧侶そうりょくと、自警団じけいだん人々ひとびと怖々こわごわはなはじめます
くびれながら近付ちかづいてたんですよ」
生首なまくびそらんでおそいかかってたんですよ」
仲間なかまたたりでころされたんです」
 うなづいて、僧侶そうりょ質問しつもんつづけます
「そのひとはどうしてんだのですか」
生首なまくび近付ちかづいてときおくれたんです」
「ばらばらになって広場ひろばらばっていたんです」
 自警団じけいだんなかにはいているひともいます
「ところで、どうしてくびったんですか」
佐吉さきちおそわれたんです」
「あなたたちのまえおそわれたのは佐吉さきちだけですか」
「そうです」
 僧侶そうりょなにやらかんがえています
「わかりました」
 僧侶そうりょ自警団じけいだんあとにしました



「ふむふむ」
 僧侶そうりょ鳥居とりいまえから神社じんじゃています
 境内けいだいてられているいしはしら異様いようですが、それ以外いがい普通ふつう神社じんじゃえました
「あれはなんですか」
 僧侶そうりょ境内けいだいおく指差ゆびさして神主かんぬしさんに質問しつもんします
こわされてしまいましたが、あれは生首なまくびいていた祭壇さいだんです」
 現在げんざい祭壇さいだんあしれてしまっていただけになっていますが、そのうえには生首なまくびっていました
こわしたのはだれですか」
祭壇さいだん食料しょくりょうらした夫婦ふうふです」
「その夫婦ふうふはどうなりましたか」
生首なまくびたたりで、水死体すいしたいになって発見はっけんされました」
 それをいて、僧侶そうりょなにやらかんがえています
夫婦ふうふこわしているのをひとはいますか」
「いません」
「そうですか」
 僧侶そうりょふたたかんがえます
「ところで、今日きょうはここにめていただけますか」
「わかりました」
 こうして、僧侶そうりょ神社じんじゃ一泊いっぱくすることになりました



 そのよる僧侶そうりょ神主かんぬしさんが寝静ねしずまったあと寝床ねどこからして祭壇さいだんのあった場所ばしょていました
 くらなかこわされた祭壇さいだんらばり、らかされたもののごみがそのままのこっています
 そのなか生首なまくびがありました
 こわれた祭壇さいだんいたっていますが、そのいたもぼろぼろになっています
「ふむふむ」
 僧侶そうりょ生首なまくび近付ちかづきますが、べつ生首なまくびひかったりしませんし、そらんだりもしません
「ええと」
 僧侶そうりょつぶやきながら鳥居とりい場所ばしょって生首なまくびたり、色々いろいろ場所ばしょからてみます
 いくらやっても、生首なまくびひかことすらありませんでした
「なるほど」
 そして、僧侶そうりょ寝床ねどこまでもどってねむりました



 あさになって、僧侶そうりょはしら調しらべることにしました
 すで死体したい片付かたづけられていますが、はしらにはまだなわのこっています
 僧侶そうりょはしらさわったり、ながめたりして調しらべています
「ふむふむ」
 僧侶そうりょなにやら納得なっとくしているようです
 不思議ふしぎそうにている神主かんぬしさんに僧侶そうりょかえりました
「これから、村人むらびとあつめてもらえますか」
「わかりました」
 神主かんぬしさんのけによって、神社じんじゃ村人むらびとたちがあつまります
「では、たたりをなんとかする方法ほうほうはなしましょう」
 全員ぜんいんそろったとき僧侶そうりょくちひらきました





毎日まいにちみんなでおきょうとなえれば、たたりはくなります」
「そうなのかー」
 僧侶そうりょ言葉ことばに、村人むらびとたちは納得なっとくします
「では、わたしつぎむらかいますので」
 そして、僧侶そうりょ村人むらびとたちが見守みまもなかつぎむら旅立たびだちました
 それから、毎日まいにちのように村人むらびとたちは集会場しゅうかいじょうあつまっておきょうとなえました
 しかし、たたりはくならず、それから数日後すうじつごむらほろびました


おしまい その1