今日の長門有希SS

 週末は例によって不思議探険パトロールの日であり、その班分けはハルヒの作成したクジによって確定する。五人を二対三に分けるこの方法では、俺が長門と組める可能性がそれなりに高い。
 例えば俺が二人組になった場合。
 この場合は残り一人の枠に長門が入らなければならないので少々厳しいのだが、三人組の一人になった場合は残り二枠にさえ入れば良い。これらは背反する事象のため、別々に計算して加算することで具体的な確率を計算することが出来るが、その計算は少々難しいのでここでは省きたい。いや、計算が出来ないわけではない、面倒なだけだ。ハルヒか古泉か長門に聞けば教えてくれるだろう。上級生の朝比奈さんに聞いても良いかも知れない。
 いや、SOS団で俺だけが計算できないって事では断じて無いからな。
 まあともかく、俺と長門が組む可能性は低くないし、長門が裏でちょっとした操作をしてくれているわけである。確率にプラスアルファされて、俺と長門は頻繁に組むことが出来るのだ。
 出来るのだが、
「やあ、今日はよろしくお願いします」
 なんでこのニヤケ面と二人なんだよ、全く。
「……」
 長門は俺の顔を見て小さく首を傾げて行ってしまい、俺達はぽつんと取り残される。
「セクハラはいけませんよ」
 しねえよ。
「では、我々も出発しましょうか」
 こうしてここにいてもどうにもならない。とりあえず、今回は犬にでも噛まれたと思って諦めるしかない。
「水入らずですね」
 何のだ。
「せっかくだから男同士でしか出来ない話をしましょう」
 キモいから顔を近付けるな。つーかどんな話をしたいんだ、お前は。
「そうですね、猥談とかどうでしょう」
 何が悲しくてこんな朝っぱらから男二人で猥談をしなければならないんだ。
「では日本経済の話などを」
 じゃあ猥談でいい。
「知り合いから聞いたのですが、ミニスカートを履いてる女性はヤレるって本当でしょうか」
 どこで誰に聞いたんだ、それは。
「機関のメンバーからですが」
 お前等の機関というのはそんな雰囲気なのか。どこの中学生の妄想だ、それは。
「五十代の方から聞きました」
 そうか。
「あと、赤い服を着ている女性はエッチだとも聞きました」


 その日は、古泉からそのような話を延々と聞かされる事になった。