今日の長門有希SS

 忙しめなのでサンプル的なものを。


「なあ長門、ちょっと思ったんだが」
「……」
「口でもいいんだが、ちょっと脇に挟んでみないか?」
「……どうして?」
「いや、どうしてって言われてもな」
「……」
「あー、そんな目で見るな。俺はただ、そっちの方が――」
「いい」
「そうか。よし、それじゃあ脇に挟んでみろ」
「……こう?」
「いや、えーとだな、それじゃあんまり良くないな……もっと、こう……」
「……」
「そうそう、それそれ! いいぞ、そんな感じでオーケーだ」
「……えらい?」
「ああ、えらいぞ。最高だ長門
「……」
「……」
「ずっとこうしていればいい?」
「そうだな。動かないで……ああ、動いたら摩擦が――」
「……だめ?」
「いや、それくらいなら……大丈夫だ」
「……そう」
「まあ、しばらくじっと――」
「お尻でも出来ると聞いた」
「って――それ、なんで!」
「本で調べた」
「まあ、そっちでも出来ない事は無いんだけどな――でも、別にそうする必要が――」
「……いや?」
「嫌って事も無いが……でも、それは……」
「……そう」
「ああ、そんな顔をするな。そんな顔をされたら、ちょっと……」
「あなたになら、いい」
「そうか、それなら――」


 バタン!


「駄目ーっ! そんな事しちゃ駄目! 排泄器官! うん、それ無理!」
 突如、俺達の部屋に乱入してきたのは朝倉だった。
「お尻なんて、そんな、不潔――あれ?」
 その朝倉は、長門の姿を見て目を丸くする。
 脇の下に体温計を挟んでいる、長門を。
「え……体温計? なんで?」
「一体お前は、何をどう勘違いしたんだ?」
「えっと、アナ――って、言わせないで!」
 顔を赤くしてぶんぶんと頭を振る。何を言ってるんだこいつは。
「まあよくわかからんが、盗み聞きは良くないぞ」
「盗み聞きなんてしてないもん! 聞こえちゃっただけなんだもん!」
 それを盗み聞きと言うのでは無かろうか。
「で、でも……そんな、つもりは……ごめんなさい……」
 真っ赤だった顔から色が抜け、すっかりしょぼくれている。反省しているって事か。
「ま、そこまで気にしなくてもいいぞ。別にやましい事もないし」
「うん……ありがとう」
 朝倉の顔が幾分かほっとしたように弛緩する。
「ところで、なんで熱なんて計ってたの?」
「えっと、それはだな……」
 俺が答えに詰まっていると、
「オギノ式避妊方法」
 と、表情も変えずに長門が言った。
「な――」
 朝倉はしばらく口をぱくぱくとさせ、
「やましい事してるじゃないの!」
 と叫んだ。