むらびととじぬしさん 8


「きっと、あのあたらしい地主じぬし元凶げんきょうだ」
「そうそう、悪魔あくま手先てさきちがいない」
 村人むらびとたちは、ひらかえしたように地主じぬしさんの非難ひなんはじめました
「あいつが台風たいふう儀式ぎしきをしているのをたぞ」
 村人むらびと一人ひとりが、おもわずうそをつきました
 おんあだかえすとは、まさにこのことです
おれたぞ、神社じんじゃでやっていた」
子供こども生贄いけにえにしていたぞ」
まえ地主じぬしさんがんだのは、あいつがのろいをかけたからだ」
すくない小作料こさくりょうでもおこらないのは、我々われわれ油断ゆだんさせる魂胆こんたんだったんだ」
 村人むらびとたちの会話かいわはどんどんエスカレートえすかれーとしていきます
「なんなら、あいつをっちまえ」
 空腹くうふく狂気きょうきじり、とうとう一人ひとりがそんなこと口走くちばしりました
 カニバリズムかにばりずむです
「そうだそうだ、悪魔あくま手先てさききにしよう」
悪魔あくま手先てさきは、きっと美味うまいにちがいない」
一人ひとりだけ、食物たべもの独占どくせんする悪魔あくま正義せいぎ鉄槌てっついらわせよう」
 そして、村人むらびとたちはおもおもいの武器ぶきって地主じぬしさんのいえことになりました