2006-09-27 むらびととじぬしさん 8 絵本 「きっと、あの新(あたら)しい地主(じぬし)が元凶(げんきょう)だ」「そうそう、悪魔(あくま)の手先(てさき)に違(ちが)いない」 村人(むらびと)たちは、手(て)の平(ひら)を返(かえ)したように地主(じぬし)さんの非難(ひなん)を始(はじ)めました「あいつが台風(たいふう)を呼(よ)ぶ儀式(ぎしき)をしているのを見(み)たぞ」 村人(むらびと)の一人(ひとり)が、思(おも)わず嘘(うそ)をつきました 恩(おん)を仇(あだ)で返(かえ)すとは、正(まさ)にこの事(こと)です「俺(おれ)も見(み)たぞ、神社(じんじゃ)でやっていた」「子供(こども)を生贄(いけにえ)にしていたぞ」「前(まえ)の地主(じぬし)さんが死(し)んだのは、あいつが呪(のろ)いをかけたからだ」「少(すく)ない小作料(こさくりょう)でも怒(おこ)らないのは、我々(われわれ)を油断(ゆだん)させる魂胆(こんたん)だったんだ」 村人(むらびと)たちの会話(かいわ)はどんどんエスカレート(えすかれーと)していきます「なんなら、あいつを食(く)っちまえ」 空腹(くうふく)と狂気(きょうき)が入(い)り交(ま)じり、とうとう一人(ひとり)がそんな事(こと)を口走(くちばし)りました カニバリズム(かにばりずむ)です「そうだそうだ、悪魔(あくま)の手先(てさき)を八(や)つ裂(ざ)きにしよう」「悪魔(あくま)の手先(てさき)は、きっと美味(うま)いに違(ちが)いない」「一人(ひとり)だけ、食物(たべもの)を独占(どくせん)する悪魔(あくま)に正義(せいぎ)の鉄槌(てっつい)を食(く)らわせよう」 そして、村人(むらびと)たちは思(おも)い思(おも)いの武器(ぶき)を持(も)って地主(じぬし)さんの家(いえ)に攻(せ)め込(こ)む事(こと)になりました