こいどろぼう(漢字ver)
昔々のお話です
或る街に、一人の快楽殺人者がいました
彼は少女が好きで、今迄に少なくとも１３人の少女を葬っています
彼は惚れっぽいのですが、其の醜い容姿の為に何度も振られてきました
其の度に彼は其の少女を殺すのです
「わあ、奴が来たー」
「逃げろ逃げろー」
「ひゃー、怖いよー」
彼が通ると、子供達は蜘蛛の子を散らす様に逃げ出します
其れに対して大人は普通にしているのですが、其れは何処と無く余所余所しい目つきで見ています
でも、彼はそんな事を気にしません
と言うより、気付かないのでしょう
とにかく、そんな仮初めの平和が街に蔓延っています
でも、其れが崩れる日がやって来ました
或る日の事、彼は街に住んでいるフィオに恋をしました
彼は思い切って彼女にアタックしましたが、案の定彼女は彼と交際するつもりは無いと言いました
其れは今迄の恋とは違いました、今迄は振られたら即殺人を決行していたのですが彼女に対しては殺そうという気持ちが起きません
何度も何度もアタックしては振られても、彼は決して彼女を諦めませんでした
雨の中、彼女の家の前で一晩を過ごす事も有りました
彼女が買い物をするのを物陰から見ていることも有りました
そんな或る日、彼女の家の前に居た彼はいきなり警察にしょっ引かれてしまいました
「何をするんですか」
「いいから来い」
ぼか
彼は警察に着く迄に何度も殴られました、ぼか
何の因果か、彼は刑務所に拘置される事になりました
弁護士に話を聞くと、どうやらフィオが訴えたそうです
刑務所に入った彼を待っていたのは地獄でした
「この変態野郎」
ぼか
「死んでまえ、ストーカー野郎」
ぼか
彼は毎日の様に看守に殴られます
「寒いよう、寒いよう」
「お前みたいな囚人にはこれで十分なんだよ」
そう言って看守は彼の服を剥ぎ取りました
「お腹が空いたよう、お腹が空いたよう」
「お前みたいな囚人にはこれで十分なんだよ」
そう言って看守は彼の食事を減らしてしまいました
「くそぅ、くそぅ」
彼は刑務所の中で泣きました
其の慟哭は天の神様迄届き、神様は彼の境遇に同情しました
「やぁ」
彼の拘留されている牢獄に神様が現れました
「わぁ」
彼は驚きました
「驚く事は無いよ、私は神様だ」
「なぁんだ、神様か」
彼は納得しました
「君はフィオが好きかい」
「好きです」
即答する彼に、神様がうんうんと頷きます
「君くらい一人の女性を好きになってしまった人間ほど哀れなものは無いね、拒否されれば当然の如く精神病的な行為に移ってしまう」
神様が感慨深げに言いますが、良く意味が解りません
「君にチャンスを上よう、目を瞑って御覧」
神様に言われて、目を閉じました
「もう良いよ」
目を開けると、そこにはフィオが居ました
「んー、んー」
フィオは縛られて猿轡をされています
貴方はそんなフィオを見て、可愛いと思いました
其の時、神様の声が聞こえて来ました
「此の部屋で彼女を君の虜にして御覧、そうすれば彼女は君の所有物だよ」
彼は納得しました
こうして、彼はフィオと楽しく暮らしました
