おでかけ三昧

 札幌戻ってきてからまともにパソコン触れてないので停滞しております
 というか、帰ってきた翌日から人の家に泊まり込みで飲んだり大富豪したりで朝5時に寝て、起きたら速攻で札幌駅に集合してカレーを食べたり神宮に行ったりポセイ丼を食べたりパフェを食べたりと忙しい日々です
 や、とても楽しいんですけど


 まあともかく、そんな感じなのでSSと出発前に拾っていた記事とか置いて寝ます

ニュース

海上自衛隊:海上自衛隊レシピページ
 多人数用のレシピみたいで独り暮らしじゃちょい微妙かも知れませんが一応メモっときます


映画『ダークナイト』、指摘された16の「間違い」(livedoor ニュース)
 どこがミスなのか解説してくれるサイトがあればいいなあ


「勝井勝丸、本名です。受験お守りに名刺を」北海道の町長 (読売新聞)
 確かに縁起のよさそうな名前ですなあ

今日の長門有希SS

 前回の続きです。


「今からみんなで解剖ビデオを見るわよ」
 ハルヒの宣言に従うように目の前のモニタにはいかにも宇宙人といった灰色の物体が現れた。アップで撮影しているのもあるが、それよりもモニタが大きすぎるのか宇宙人はかなり大きく映し出されている。
 なお、俺たちが移動してきたのは鶴屋さんの家である。事前にハルヒが了解を取っていたらしくすんなりと部屋に通され、この広い部屋があてがわれた。以前にもここで何かを見たような気がするが、特に思い出す必要もない。
「うぅ」
 さて、映し出されてた映像を見て顔をしかめる朝比奈さんの気持ちもわからなくもない。宇宙人ということなので馴染みのある生物とは違うが、それは明らかに人形やぬいぐるみとは一線を画していた。いかにも万人のイメージする宇宙人のイメージそのものなので作り物くささは否めないが、見た目としては生き物の死骸らしいと言えなくもない。
 カメラが引いていくと部屋の様子が映し出される。手術室のような部屋で、宇宙人の置かれた台を囲むようにまるでSFに出てくるような防護服に身を包んだ者たちが立っている。
「カラーなのか?」
「そうよ」
 確か、以前俺が見た映像は白黒の不鮮明なものだった。昔の映像らしくするという意味もあったのだろうが、トリックならば映像が荒い方が都合がよかったのだろう。
 だが今回のビデオはカラーの映像だ。恐らくは本物ではないと思われるが、偽の映像をカラーで作るということはそれなりに自信があるということだろうか。
 だが、画質が鮮明でカラー映像となると問題が生じる。
「気持ち悪いですぅ……」
 早くも音を上げた朝比奈さんは顔面蒼白だ。なんとなく偽物だろう、と思っている俺としてもあまり気持ちのいい映像ではないと思っているのだから、多少なりとも信じているであろう朝比奈さんには耐えられる者ではない。
「みくるちゃん、目を背けたい気持ちはあたしにもわかるわ。でも、ここで見るのを辞めたってこの宇宙人が生き返るわけじゃないのよ。今ここでビデオを止めるよりも、最後まで見てあげるほうがこの宇宙人だって嬉しいはずよ」
「ハルにゃんの言う通りさっ。どうせ死んじゃってるんだし、科学の発展に役立ててあげたほうが供養になるにょろっ」
 ハルヒの発言に同意してうんうんと頷いているのはこの部屋を提供し「面白そうだからねっ」と鑑賞会に参加した鶴屋さん。表情を見る限り本気で同意しているというよりもその方が楽しそうだからという気持ちが透けているかのようだ。
「わ、わかりました……この宇宙人さんだって、ちゃんと見てあげれば……」
 というと朝比奈さんは、ハンカチで口を押さえながらも顔をしっかりとモニタを向けている。すっかり丸め込まれてしまったようだ。
 その一連の流れを遠巻きに見ながら、俺は少し離れた位置に座る古泉の横に移動する。
「なあ、どう思う?」
 というのは、もちろんこの映像の信憑性だ。部室でハルヒに反論していたのを聞く限りこいつはそれなりに宇宙人関係の知識を持っているらしい。元々そういった不可思議現象に興味があったのか、ハルヒに合わせるために知識を集めているかは知らない。
「どう、とは」
「本物だと思うか?」
「いえ、僕個人の感想としては偽物だろうと思っています」
「やっぱりそうか」
「ですが、いくつか疑問もあります」
「疑問?」
「ええ、以前の解剖フィルムでも同じことが言われていたのですが、誰が作ったのかと言うことです」
「誰がって……」
 まあ、それなりに技術を持ったものが作ったのだろう。特殊メイクをやるような、まあ映像制作に長けた者だ。SF映画を作ってる奴だって候補になる。
「ええ、この映像を作ることのできる者はいくらでもいるでしょう。ですが、それは仕事として相応の対価を受け取って作るような場合です」
「どういうことだ?」
「要するに、こんなものを作って得をする者はどこにもいないということです。今回のビデオだって、涼宮さんが持ってくるまで少なくとも僕は見たことがありませんでした。どこかに売られていたなら見かけることくらいはあるでしょうし、つまり、この映像を作った者が今のところ利益を得ているとは思えません。今後も恐らく」
 つまり、こんな者を作っても誰も得をしないということか。
「そうです。作ること自体が目的なら話は別ですが、道楽にしては金額的負担が高すぎるかと」
 古泉の言うのももっともだ。宇宙人がいかにもベタな宇宙人であることに目をつぶれば、この映像にはそれなりにリアルなところがある。手術室の様子だったり、防護服だったり、宇宙人の体内の構造であったり……まあもちろん俺は宇宙人の体がどういった作りになっているのかは知らないが、理科の教科書に載っている生物の解剖図に似ていなくもない。
 さて、考えてわかるものでもない場合、俺にはその疑問を解決する手段が一つある。
長門
「……なに」
 流されている映像を気にした風もなく読書をしていた長門が本から顔を上げる。映像が流れるまで「宇宙人の解剖」という言葉に過剰反応していた長門だが、いざ始まってしまえばあとは無関心になっている。
「こんな宇宙人に心当たりはあるか?」
「よく見る」
「本当か!?」
 長門が知っているというならば、このタイプの宇宙人が実在していたということになってしまう。それなら、この映像はもしや――
「グレイタイプの宇宙人はSF映画などによく登場する」
 そっちかよ。
「そうじゃなくて、この映像は本物だと思うか?」
「偽物。明らかに作り物」
「そうか」
 古泉と顔をつきあわせてああでもないこうでもないと言い合うより、やはり長門に聞くのが一番だ。あまり頼りすぎるのもどうかとは思うのだが、実際頼りになってしまうのは仕方がないだろう。
「じゃあ、この宇宙人は何なんだ?」
「精密に作られた人形に動物の内臓を入れたもの。豚や牛など、いくつかの生物の臓器が混在している」
 まあそんなところか。予想の範疇だな。
 しかし問題は残る。こちらは長門が解決できるかはわからないが。
「じゃあ、誰が作ったってんだ?」
 この映像を作るにはかなりの金が費やされているはずだ。中に使う臓器は焼肉屋のモツのようなものばかりのようなものだからそれほど金を要しないかも知れないが、この宇宙人作るのは並大抵の手間ではない。
 そんなものを誰が作った? ある程度のまとまった金を動かせる者で、そもそも道楽でこんな映像を作ってしまうような者で――
「んんっ、どうしたんだいっ? 考え事かなっ」
 難しい顔でもしていたのだろうか。ハルヒや朝比奈さんから離れた鶴屋さんがすぐ近くにいた。
「ええと、その……この映像、誰が作ったのかと思いまして」
「作った……って、キョンくんはこれが偽物だと思ってるのかいっ?」
「そりゃ、そうですよ」
「根拠が薄いねえっ。もし、そう思った根拠があったらお姉さんに教えて欲しいにょろっ」
 根拠と言われてもそれらしいものがない。いかにもうさんくさいというのもあるが、まあ、決め手はやはり長門が断言したことだ。
「うーん、長門っちなら仕方ないねえっ。次からはキョンくんたちも信用するようなのを作――おっと、それより飲み物とか必要ないかなっ?」
「大丈夫です。あ、でも朝比奈さんには水が必要かも知れませんね」
「みくるのことならお任せするさっ。じゃ、またねっ」
 と、疾風のように鶴屋さんが部屋から出ていく。
 しかし、本当に誰が作ったんだろうな……この映像が作れるほど金があって、作って他人に見せることに喜びを見いだすような奇特な者が存在していれば話は別なのだが、そういう人間に心当たりはないしな。


 結局、その日は解剖フィルムを見終わって解散することになったのだが、最後まで作った者の正体はわからずじまいだった。
 なお、それから定期的にハルヒが解剖フィルムの新作と言ってビデオを持ち込む機会が増えるわけだが、それはまた別の話。